あいたむblog

ワインと音楽とアートと写真が好きなあいたむの日常。 たまたま見つけた誰かのために残しておくメモ。

カテゴリ: ミュージアム

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奈良原一高『「王国」より沈黙の園』
約3ヶ月、今通っている学校の「ポートレート写真」のクラスに参加していました。
そこで、講師の方から、奈良原一高の『王国』という写真展がとても良かったので興味がある人は一度行ってみてとおすすめされていました。

奈良原一高写真集 時空の鏡
奈良原 一高
新潮社
2004-05-20




たまたま国立近代美術館に行く用事があったので見に行ってきました。

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閉館1時間前くらいに展示室に行ったのですが、40名くらいの方が鑑賞していました。
今回の展示では1971年に発表された「王国」の作品87点が展示されていました。
展示の内容は北海道の修道院と和歌山の刑務所で撮影されており、どちらも男性のみ・女性のみの閉鎖空間で営まれる日々の瞬間を切り取っています。外部から隔離された空間の中で、一方は世俗から自らの意志で離れ、また一方は罪を犯し「娑婆」にいられなくなった人々…例えば同じ「読書をする」行為を撮影した写真があったのですが、同じ行為の写真でも、一方は非常に静謐な、透き通るような空気が流れるもの、他方は鬱屈した、夢も希望も無いような表情を浮かべ、緊張感のある空気が流れるもの、と全く異なる印象を受けました。

二つの場所に生きる人の対比が面白いと感じました。

また、同時開催の『MOMATコレクション』展の一部で、デビュー作となる『人間の土地』シリーズを展示されています。
こちらは最近ファンも多い軍艦島14点、黒神村8点の作品が展示されています。個人的にはこちらの展示室から作品を見ていくと、『王国』の作品群への流れがすごくスムーズな気がするので併せて見るといいと思いました。
同じく70年代に発表したシリーズ『ブロードウェイ』の一部も展示されており、奈良原一高の初期の仕事をまとめて見ることのできる機会となっていました。


『奈良原一高 王国』

2014年11月18日(火)~2015年3月1日(日)
会場:東京都 竹橋 東京国立近代美術館 ギャラリー4
時間:10:00~17:00(金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(11月24日、1月12日は開館)、11月25日、12月28日~2015年1月1日、1月13日
料金:一般430円 大学生130円
※高校生以下および18歳未満、65歳以上、キャンパスメンバーズ、MOMATパスポートをお持ちの方、障害者手帳などをご提示の方とその付添者1名は無料
※12月7日、2015年1月2日、1月4日、2月1日、3月1日は無料観覧日
http://www.momat.go.jp/Honkan/naraharaikko/

PC073444

そういえば、最後の授業のときに、先生が
「写真はどこまでいっても絵画の再構築でしかない時代が長かったから」
とさらりとおっしゃったのですが、その言葉が印象的で忘れられません。

一方で、写真という技術の誕生や時代の変化によって、絵画の世界においてもそれまでの歴史画、肖像画、風景画、静物画といった固定されたジャンルを飛び越えて、内面を表現するという自由を探求することができるようになりました。
この2つのジャンルの相関関係というものが、今自分の中でとても興味深く、今後も探求していきたいテーマだなと改めて感じています。

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11月の連休に、また関西に行ってきたのですが、
今回は新神戸にある「竹中大具道具館」に行ってきました。
こちらは「
消えてゆく大工道具を民族遺産として収集・保存し、さらに研究・展示を通じて後世に伝えていくことを目的に、1984年、神戸市中山手に設立されたのが日本で唯一の大工道具の博物館「竹中大工道具館」です。(引用:竹中大工道具館HP)
ということで、大工道具の歴史に迫る・また建築に携わる人々のハブになる・ものづくりを応援するをこと目指した博物館です。
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館内は写真撮影OK。
そして多くの資料が手で触れることを許可しています。

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さすがに鋭利な刃物などはガラスケースに展示されていますが^^;

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江戸時代に使われていた宮大工の方の彫刻刀です。
木造建築や自社仏閣が好きな方ならかなりはまってしまうこと間違い無しな場所です。


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博物館の特色として、実際の資料約30000点をはじめ、映像資料の公開にも力を入れています。
この写真は凸版印刷が作成したCGによる当時の建築技術の分析のVTRですが、こうして分解してみると非常に高度な技術があることが分かります。
特に釘を用いない木造建築のレベルの高さは本当にすごいなと思います。

また、竹中大工道具館では、教育普及活動の一環として出張授業のプログラムを組んでいます。
薬師寺の再現に携わった愛媛の鍛冶・白鷹幸伯氏について書かれている小学校
5年生の国語科学習「千年の釘にいどむ」という教材をもとに、実際に白鷹氏がつくった釘と現代の釘とを比較し、和釘の製造工程の紹介を行っているそうです。
過去の記憶をたどっていくと、児童教育の国語科では文章理解や内容把握を求められますよね。
国語が苦手だと思っている人の中には、「回答するプロセスを導くこと」の部分で躓くこともあるのかなと思います。
文脈をつかむということは論点を整理する力や、文章内に隠されていることを理解する力が必要です。
恐らくそれは文字ではわかりにくいけれど、疑似体験をすることや、想起しやすいものに置き換えることで、少しずつパターン化できるのではないかなと思っています。
そういう意味で、釘や鉄の性質を、実際に触れて、違いを比較して、実感として理解することで、文章の中にこめられている本質を見出す作業の補助ができるのじゃないか。。。と思いました。

最近教育について考える機会が増えているのですが、特にアウトリーチや産学連携という堅い言葉ではなくても、
学習指導要領や地域の教育施設で使われているテキストを事前に把握し、自分たちの地域に住んでいる子供たちが何を学び、何を考えているのかを把握しておくことはとても重要なことのように感じます。
だって、それは10年後、20年後に必ず返ってくるから・・・

博物館側が副教材として利用できる体験学習を提供することで、地域社会に貢献する。
そういう動きが少しずつ生まれているということの紹介を僭越ながらさせていただきました。

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山種美術館の撮影OKのブロガー内覧イベントがあったので行きました。

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広尾から歩いて数分の美術館では
・東山魁夷と日本の四季
という展覧会が開催中です。
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

約50人ほどの方が参加され、カメラやスマートフォンなどで作品の魅力をリアルタイムにレポートするという興味深いイベントでした。

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魁夷の画業を師や仲間の作品とともに、美術館館長のギャラリートークを中心に鑑賞しました。
東山魁夷の特徴ともいうべき美しい青の色を日本の四季を通じてたのしむことができます。

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特に印象深かったのがライティングによる作品の見え方です。

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満ち来る潮
という9mの作品なのですが、フットライトが付いてないときと、

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フットライト点灯時で見え方が全く違います。特に波の部分の明るさがフットライトを使うことでより輝いて見えました。

こちらの作品は東山魁夷自らが、フットライトにて照射して欲しいと指示があったそうです。


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また、京洛四季の作品は川端康成からの勧めでなくなりつつある京都の古き良き時代と四季の移ろいを描いた作品でした。

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この前長野で東山魁夷の作品を見てきたばかりだったのでとても親しみをもって作品と向き合うことができました。

また、普段は作品保護と著作権保護の観点から撮影禁止ですが、今回特別に撮影させていただき、改めて美術館で撮影することの意義と撮影しない意味について思考を巡らせることができました。

山種美術館の皆さん、青い日記帳のTakさん、素敵な企画をありがとうございました!

こちらの展示は2015年2月1日まで開催されているのでご興味のある方はぜひいってみてください!


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ヒカリエ8F CUBE&COURT。
アートスペースとして、定期的にさまざまな展示を行っています。
http://www.hikarie8.com/court/
会社から一番近いアートスペースなので、良くランチタイムなどにふらりと見に行ったりしています。
ヒカリエに遊びに来た際は一度8Fにお越しいただくと、新たな発見があって面白いので、ふらりと行くのおすすめです。

先日そこで開催中の「Accidental Tools―予測不可能な文房具―」展に行ってきました。
東京藝術大学大学院映像研究科とサムスン電子ジャパン株式会社による 「GALAXY Lab.」というプロジェクトの一環として、共同研究の成果を一般に公開する展覧会を毎年行っているそうです。

今回は2つのアプリを制作したということでした。実際に制作したアプリでのインスタレーションを鑑賞することができます。アプリの入ったスマートフォンを会場で貸していただき、作品にかざしていきます。
画像そのものをターゲットにするARアプリの展示は、渋谷の街のモニュメントや画像をかざすことで「過去の渋谷と現在の渋谷、あるいは未来の渋谷が交じった物語が展開」されています。例えば街角の地図に江戸時代の地図を表示するといったことが可能になります。
拡張現実はスマホ黎明期には色々と話題に上がることが多かったのですが、最近はかなり落ち着いてしまったので、今回若い学生が「作品」として取り扱うことでまたスポットライトがあたったら面白いなと思いました。
特に、バーコードやQRなどの無機質な「コード」ではなく、実際の画像自体に処理を加えて浮かび上がらせるというのは遺跡などのスポットで使ったりできると対比ができたりして面白そうだなと感じました。

もう一つの作品は「アフレコカメラ」。作品にデバイスをかざすことで静止画と認識していたものがデバイス上で動き出します。目で見るだけでは写真なので、隠し動画のようで着眼点が面白いなと思いました。

今週末にプレゼンテーションが開催されるということなので興味のある方はぜひ一度見に行ってみてください。

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◆プレゼンテーション
10月3日(金)
14:00-15:00 : 子ども向けワークショップで制作された作品上映
15:00-16:30 : プレゼンテーション「アフレコ・カメラをめぐる3階層」(藤幡研究室)
10月4日(土)
15:00-16:00 : プレゼンテーション「AR(拡張現実感)作品ができるまで」(藤幡研究室)

日程
2014年9月25日(木)- 10月5日(日)
会場
渋谷ヒカリエ 8/(東京都渋谷区渋谷 2-21-1 渋谷ヒカリエ8階)
CUBE - 9月25日(木)- 10月5日(日)
COURT - 10月3日(金)- 4日(土)
入場無料
主催
GALAXY Lab.(東京藝術大学大学院映像研究科 + サムスン電子ジャパン株式会社)
プロジェクトサイト http://glab2014.tumblr.com 

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8月31日、ある晴れた日に。
9月からまた改装に入る、埼玉県立近代美術館に行ってきた。

「戦後日本住宅伝説—挑発する家・内省する家」
という企画展は、その題材のユニークさから、Twitterでも評判がかなり良く気になっていた。

また、春にピカソの展示を見に行っていたので、同じ展示室で建築の展示をどのように行うか興味があった。

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最終日ともあって、美術館はかなり混雑していた。やはり、閉館前日だからなのか。
地方の美術館では、土日でも閑散としていることもある中でこの集客は凄い。


さて、改めてこの企画展では『戦後の都市化が急速に進んでいく中で、人間の私的な居場所である住空間に、個々の建築家はそれぞれ内なる眼差しをどのように注ぎ、芸術性をも視野に入れながら、どのような解答を引き出したのか』を掘り下げていく。
昭和の個人住宅を題材にしているということは、多くは一般公開されていない。また、既に解体されており現況確認すら出来ないものもある。
そもそも、作品自体美術館に持って来ることが出来ない。その場に無いものを、どう情報を組み合わせて作品としてリアリティをもたせるか?
その点が非常に興味があった。

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展示は丹下健三の「住居」(1953年)からはじまり、伊東豊雄の「中野本町の家」(1976年)、安藤忠雄の「住吉の長屋」(1976年)まで、全部で16人の建築家、16の住宅を紹介している。

外観を確認できる写真1点、建築模型1点、タイトルとキャプション、解説パネルがそれぞれ展示されていた。
また、非常に特徴的だったのが、幅約3m、高さ約2.5m程度の巨大スクリーンに引き伸ばされた内観の写真である。
これだけ撮影可能だった。
例えば丹下先生の(教わった事は無いけど先生とお呼びしたいよね…呼び捨てできない)『住居』は、縁側の写真だったのだが、目線の高さが丁度実寸に近い形で、そのまま画面の中を歩いて木の質感を素足で楽しみたくなるような気持ちになった。

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また、今回の展示で『これは!』と思ってしまったのは、この写真の東孝光自身の自宅である『塔の家』の展示。
この物件は今も外苑前にほど近い外苑西通り近くにあるので、ぜひ見にいきたいのだが、狭小住宅の先駆けとして伝説の家。
内部は中心に階段があり、空間をうまく分けている。その圧迫感を感じさせない間取りは模型ではなかなか掴めないが、今回の展示では同じ寸法にカットされた間取りが引き伸ばされた状態でシートとして床にひかれており、鑑賞者が実際に寸法を体感することができる。正面に外観の無機質なコンクリート建築の写真を置くことで、その場に来たような気分になった。

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黒川紀章の作品もあった。彼がこの埼玉県立近代美術館の設計を手掛けているのだが、この美術館の正面のグリッド感が高校生のころたまらなく好きで、用もないのによく来ていたことを思い出した。

今回の展示作品は初期の代表作であり、非常にユニークな建築物として有名な『中銀カプセルタワービル』。それぞれを2.3m×3.8m×2.1mの住居カプセルに納め、2本の鉄筋鉄骨コンクリシャフトにボルト接続させている、独立性の高い物件。メタボリズム建築の代表作とされている。
アスベストによる健康被害の懸念など、この物件にかんしては色々といわくがついてしまったが、今でも居住物件として機能している。

最近デイリーポータルZでも取り上げられていたし、ご存知の人も多いと思う。
展示では黒川紀章のインタビューから、実際にシャフトに取り付ける瞬間などのVTRが流されていて、熱心に見ている人が多かった。

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他にも面白い建築作品が展示されていたが、最後の別室に展示された白井晟一の『虚白庵』、伊東豊雄の『中野本町の家』は対照的な作品ではあるが、どちらも閉鎖空間のような内部構造が非常に印象に残った。外観=社会との共存、内観=個人または家族など共同体のルールで構成された独立した世界…ということを強く意識させられた。

鑑賞者は家族連れから建築関係の仕事をしていそうな男性、学生など幅広い世代がきていたが、どの人も熱心に見ていた。

今回、都内の美術館と比べて天井も高くなく、広さもとても広いとはいえない敷地面積で、どうやって展示するのかがとても興味があったけど、行って見たら狭さは全く感じないし、圧迫感もなく、非常に見やすかった。

16作品を1人の建築家ずつ区画をくぎって展示することにより、作品に集中できるし、まるで有名建築家の住宅展示場に来ているようでとても楽しかった。

東京では八王子で開催される予定なので、興味のある方はぜひ。私ももう一度見に行きたいと思います。


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