あいたむblog

ワインと音楽とアートと写真が好きなあいたむの日常。 たまたま見つけた誰かのために残しておくメモ。

カテゴリ: ミュージアム


東京国立近代美術館の「トーマス・ルフ」展に行ってきました。
http://thomasruff.jp/  
会期が終了してから感想を書くというポンコツぶりですが、
2016年を振り返った時に改めて「写真(画像/image)の持つ力」についてと「表現」について試行錯誤していた年だったと感じるので、どうしても書いておこうと思います。

周りの写真を勉強されている方々が絶賛していたのと、
ベッヒャー夫妻に学びタイポロジーの作品制作を開始されていたことと、
私はアンドレアス・グルスキーの世界観が好きなのですが、彼と同じ師に学び、
しかしよりシニカルに現実社会を見つめているような気がしたことと、
写真では撮ることができないインターネット世界という仮想現実上に氾濫するイメージを引用して作品制作を行っている作品群を見てみたかったからです。

今回の展示は制作初期の作品から最新作まで膨大な作品群を一度に見ることができるということで、
多くの方が来館されていました。
特に学生や若年層が多いと感じました。
写真展は若い人の鑑賞者が多い傾向にあるような気がします。
絵画の展覧会だと年齢層がかなり上がるので、毎回興味深いです。

展示数が多いとその作家の世界観の変遷を体系的に見ることができるので、より面白いと感じる一方で、
一度に作家の思想を汲み取る処理をする必要があり、脳がついていかない時があります。
今回のように刺激的な思想の下で制作している人だと特に。
初期の頃のザ・タイポロジー的な表現については、ベッヒャーと同じように極力同一条件下で撮影されていましたが、その当時から匿名性に関する視点がすでにあり、「andere Porträts(http://thomasruff.jp/works/07_andere_portrats/)」という大胆な作品群への兆しがあったことが非常に興味深かったです。

そして「jpeg(http://thomasruff.jp/works/12_jpeg/)」という、インターネット上に溢れる画像を引用して圧縮率をあげ、ガビガビにひきのばした状態で展示するという過激な作品を境に、素材を自身が撮影したもの以外で調達するようになっていきます。
このくだりについてはこちらのインタビューが参考になりました。
インターネットの世界の中で何をどう作り上げていくか、という仕事に携わる自分にとっては、クオリティテストの段階で排除されるべき醜悪なものであり、「作品」として価値があるという風には、紙でのプリントでは認識できませんでした。
しかしながら大きく引き伸ばされた展示作品として目にしてみると、何故かそれが神秘的な力を孕んでいるように思えてきました。
切り取った瞬間の直後に訪れる悲劇は、それまでに幾度となく目にしていたし、脳裏に焼きついているものでした。
敢えてドットが浮き出ているような状態でプリントするなんて…
それも、2004年に制作したなんて。
言葉を失いました。

写真という技術はテクノロジーの発展の上で制作されたもので、今では誰でも手軽に記録を残せるツールとなっています。
そして情報伝達の高速化により、有象無象のイメージがあらゆる瞬間に切り取られ共有されていきます。
彼の作品は下地の画像を極端にデフォルメしたり、コラージュすることで別観点の視点を与えると共に、
今置かれている状況を客観的に見つめ直す作業を鑑賞者に求めているように感じました。

最近よく考えているのが、自分より下の世代たちの中に共通して存在する小さな「共同体思想」についてです。
彼らの価値観の中には、「所有欲」という概念が欠如しているように感じます。
モノはもはや「所有」するものから、「共有」するものへと変化しているように、
無理をしない、必要なものはシェアする、周りの場を読むことが常態化し、一時的な興奮が爆発的に浸透する、、、それまでの価値観とはまるで違う「境界線のようなもの」が、非常に薄い膜の中で、少しずつ生育されているように感じます。
トーマス・ルフの近年の作品からは、まるでそれらの世代の台頭を予言しているかのようなモザイク性と、圧倒的な俯瞰の力によるメディアのあり方を問うような気概を感じました。

東京展の次は金沢21世紀美術館で開催されるそうです。
展示構成も異なるということなので、興味があればぜひ観に行かれることをおすすめします。 

先日表参道ヒルズで開催中の蜷川実花のFASHION EXCLUSIVE展に行きました。


ファッションをテーマにした個展で、「ニナミカワールド」の波が襲ってくるような、圧倒的な色彩のノイズで覆われるような感覚になりました。
眩しさに慣れてくるように、色になじんで来た頃、漸く1つ1つの作品が作品として浮き上がり認識できるようになるという体験がとても新鮮でした。


大きく引き伸ばされた写真が折り曲げた壁全面に貼られていて、屏風のようでした。
天井からも吊り広告のように作品が垂れ下がっていて、中に入ると色の洪水に圧倒されます。
また、「服の世界観をモデルがどう表現するか」
というファッションの表現を最大限に引き出す作品にするために、人物の使い方、目線や仕草に加えて背景セットやライティングや風の演出など細かい調整をものすごくしているということを改めて感じ、とても参考になりました。

「蜷川実花」という言葉は「鮮やかな色彩」「デコラティブな花や金魚のモチーフ」「トレンド性」というある種の共通認識があるように捉える方も多いと思います。
しかしながらその過剰な色彩もひとつの要素のひとつでしかなく、1つの作品のテーマをどう表現するか、という基本に忠実に撮影されている方なんだということを強く感じました。
 
5月8日まで開催されているのでもし東京に来られる場合はぜひおすすめします。
4/23(土)~5/8(日) 蜷川実花写真展「FASHION EXCLUSIVE」




鎌倉近代美術館 通称カマキン。
1月31日の展覧会終了とともに閉館が決まっています。
神奈川県立近代美術館鎌倉館(http://www.moma.pref.kanagawa.jp/public/HallTop.do?hl=k)は2016年2月1日(月曜)以降、収蔵品の移転作業等に伴い、関係者以外は建物内への立ち入りはできなくなります。今後は鎌倉別館と葉山館で行っていくそうです。

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神奈川県立近代美術館は日本で初めて建てられた公立の近代美術館です。
建築はコルビジュエに師事した坂倉準三。
日本語・英語・フランス語・ドイツ語での表記があるのが、今では少し珍しいかもしれません。



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2016年3月をもって鶴岡八幡宮の境内の定期借地権が切れるため、閉館の運びとなるそうですが、
建物自体はそのままにしておく方向で調整しているそうです。

12時ごろに行ったのですが、入るのに長蛇の列でした。

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老朽化が激しいということでしたが改装すればまだまだ全然大丈夫のような気がして、
鎌倉の自然が身近に感じられる美術空間がなくなってしまうのは残念だと思いました。
(実際は葉山に新しい美術館が建ったので企画展などはそちらで開催されるようです。)
自分が去年お世話になった大学の授業で、こちらの6代目の館長の話を伺った際に、
「関東に住んでる人、もし時間があったらなくなっちゃう前にいってごらん。」
と言われていたので、本当にギリギリでしたが来れてよかったです。

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館内は撮影ができないのですが、中庭のところにこのような張り紙が。
公共の美術館が拡散ツールに使うのはTwitterなんだなぁと思いました。
ミュージアムウィークのイベントも行ったり地道な活動が定着しているようです。

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館長のお話をみんなで伺いました。
実際には200人くらいがこちらにいました。
こちらの美術館は外と中の空間設計が非常に優れていて、
美術館のベストな空間は地下だけど外光が自然に入ってくる空間なので内外を散策したりととても居心地の良い空間になっていることをあげていました。
(これも野外です。寒かったです。笑)
もしつぎの施設が宗教施設として利用されるとしても、この気の流れのようなものがうまく取り込まれたら良いなと語っていました。


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こちらのイサムノグチの彫刻<<こけし>>は、以前イサムノグチ展で展示されていたもので、
そのままここに所蔵されたそうです。
そもそも北大路魯山人がイサムノグチに鎌倉にある自分の工房の敷地内に宿を貸してくれたことがあったらしく、縁があったのですね。



明日で展覧会が終了なのでお時間がある方がいたらぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
 




6月はお休みが少ないのであまり展覧会に行く時間がありませんでした。
このたびご縁がありましてとある美術館の教育普及ボランティアスタッフをさせていただくことになりました。
これから研修があるのでとてもドキドキしていますが、来館した方に色々なことを感じ取って帰ってもらう、
そのほんの少しのお手伝いができればいいなと思っています。
そして初めて公立美術館のスタッフとして実地で学べる貴重な機会を頂けてうれしく思っています。 

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◆東京都庭園美術館
フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展
2015年4月25日(土)–6月30日(火)
〈エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ〉上映会
日時:2015年6月20日(土) 16:00~17:30ごろ(開場15:45)
ゲスト:関根秀樹(古代技術史・民族文化研究家)
コーディネーター:下中菜穂(ECフィルム上映チーム)

◆東京オペラシティ アートギャラリー
高橋コレクション展 ミラー・ニューロン
開館時間:
11:00 ─ 19:00 (金・土は11:00 ─ 20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで)
2015年4月18日[土]─ 6月28日[日]


◆松岡美術館
創立40周年記念 特別企画 
わたしの好きなシロカネ・アート
あなたが選ぶ、松岡コレクション「日本の美」
2015年4月7日(火)~6月28日(日)
6月27日(土)午後3:30~ 演奏:武蔵野音楽大学学生(バリトンと弦楽によるアンサンブル)
〒108-0071 東京都港区白金台5-12-6
TEL:03-5449-0251 FAX:03-5449-0252


◆国立新美術館
マグリット展
東京都港区六本木7-22-2
開館時間
10:00~18:00 金曜日は20:00まで
会期
2015年3月25日(水)~6月29日(月)  

◆八王子市夢美術館
特別展 戦後日本住宅伝説
―挑発する家・内省する家
会期
2015.6.14(日)- 2015.7.20(月・祝)
開館時間
10:00-19:00 入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日 ただし7月20日(月・祝)は開館

◆印刷博物館 
ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ
http://www.printing-museum.org/exhibition/index.html
2015年4月25日(土)~2015年7月12日(日)
所在地 
〒112-8531
東京都文京区水道1丁目3番3号 トッパン小石川ビル
開館時間 
10時~18時(入場は17時30分まで)

◆三井記念美術館 
フィラデルフィア美術館浮世絵名品展 春信一番!写楽二番! 
2015年6月20日(土)~8月16日(日)
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)

◆東京国立近代美術館
No Museum, No Life?―これからの美術館事典
国立美術館コレクションによる展覧会
2015.6.16 - 9.13
住所 〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間 10:00-17:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで
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8月だけどこれは行きたい!
東京オペラシティ アートギャラリー 
鈴木理策写真展 意識の流れ
期 間:
2015年7月18日[土]─ 9月23日[水・祝]

しかし行きたい美術館が沢山ありすぎ問題…。
時間が無いよう。夜間開館してほしい… 。
 

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↑機会があったらぜひまた行きたい、竹中大工道具館。ほんとにおすすめ。


6月までに行きたい美術館や展覧会のメモ。
とはいえ5月の土日はあと6回しかないので、行けないかもだけど…
そういえば都内の美術館や博物館を見に行くのであれば、「ぐるっとパスhttp://www.rekibun.or.jp/grutto/」がとってもおすすめです

◆2月7日(土)~5月24日(日) ワシントン・ナショナル・ギャラリー展
三菱一号館美術館
http://mimt.jp/nga/
※先生が絶賛していたので、会期中に1日かけてじっくり見たい。
「優しい印象派」とは何なのか。


◆2015年1月31日(土)~2015年5月17日(日)コレクション展 ベスト・オブ・ザ・ベスト
ブリヂストン美術館
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/2015/190/

マジすか…
とはいえ!最後にマネの自画像と対峙したいのです
日曜日行く予定です

◆2015年4月8日(水) ~5月31日(日) Le fil rouge(赤い糸)
エスパス ルイ・ヴィトン東京 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
http://espacelouisvuittontokyo.com/ja/

◆2月21日(土)~6月1日(月) ルーヴル美術館展 日常を描く─風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄
3月25日(水)~6月29日(月) マグリット展
国立新美術館
http://www.nact.jp/
ささっと行けばいいのにね。まったくね。


◆4月28日(火)~6月7日(日) 鳥獣戯画-京都・高山寺の至宝-(平成館)
東京国立博物館
http://www.tnm.jp
並ぶのだるぃなぁ・・・とはいえ京都じゃ4時間待ちだったらしくて東京の方がまだ空いている模様。
「2009年から4年がかりで解体修理されてきた国宝・鳥獣人物戯画4巻(甲・乙・丙・丁)。今回は修理後初の東京でのお披露目であると同時に、断簡(鳥獣戯画が現在に伝わる過程で、切り分けて掛軸に仕立て直されたもの)5幅も展示。現存する鳥獣戯画すべてが見られる機会は、おそらく初めてです。」
去年鳥獣戯画のレプリカで巻物(巻子)を見る練習したのが懐かしいわ。

6月になってから行きたい美術館や展覧会のメモ。
◆6月14日(日)~7月20日(月・祝)「戦後日本住宅伝説―挑発する家・内省する家」
八王子市夢美術館
http://www.yumebi.com/
埼玉県美で去年やった企画展を別の場所で見たらどんな印象を持つかを確認してみたいので。

◆2015年4月29日(水・祝)~6月28日(日) スター・ウォーズ展 未来へつづく、創造のビジョン。
六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー(森タワー 52F)
http://www.roppongihills.com/tcv/jp/sw-visions/
必修科目。
よるのが比較的すいてるか?

◆2015年4月18日(土)~ 6月28日(日) 高橋コレクション展 ミラー・ニューロン
東京オペラシティ アートギャラリー[3Fギャラリー1, 2] 
https://www.operacity.jp/ag/
「現代アート」どっぷり論に多少巻き込まれた感はあれど、、、
あまりにも見ていないので見ようと思って見に行きたい

本当は根津美術館にも行きたいんだけど時間的に無理そう。残念

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