あいたむblog

ワインと音楽とアートと写真が好きなあいたむの日常。 たまたま見つけた誰かのために残しておくメモ。

December 2014

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奈良原一高『「王国」より沈黙の園』
約3ヶ月、今通っている学校の「ポートレート写真」のクラスに参加していました。
そこで、講師の方から、奈良原一高の『王国』という写真展がとても良かったので興味がある人は一度行ってみてとおすすめされていました。

奈良原一高写真集 時空の鏡
奈良原 一高
新潮社
2004-05-20




たまたま国立近代美術館に行く用事があったので見に行ってきました。

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閉館1時間前くらいに展示室に行ったのですが、40名くらいの方が鑑賞していました。
今回の展示では1971年に発表された「王国」の作品87点が展示されていました。
展示の内容は北海道の修道院と和歌山の刑務所で撮影されており、どちらも男性のみ・女性のみの閉鎖空間で営まれる日々の瞬間を切り取っています。外部から隔離された空間の中で、一方は世俗から自らの意志で離れ、また一方は罪を犯し「娑婆」にいられなくなった人々…例えば同じ「読書をする」行為を撮影した写真があったのですが、同じ行為の写真でも、一方は非常に静謐な、透き通るような空気が流れるもの、他方は鬱屈した、夢も希望も無いような表情を浮かべ、緊張感のある空気が流れるもの、と全く異なる印象を受けました。

二つの場所に生きる人の対比が面白いと感じました。

また、同時開催の『MOMATコレクション』展の一部で、デビュー作となる『人間の土地』シリーズを展示されています。
こちらは最近ファンも多い軍艦島14点、黒神村8点の作品が展示されています。個人的にはこちらの展示室から作品を見ていくと、『王国』の作品群への流れがすごくスムーズな気がするので併せて見るといいと思いました。
同じく70年代に発表したシリーズ『ブロードウェイ』の一部も展示されており、奈良原一高の初期の仕事をまとめて見ることのできる機会となっていました。


『奈良原一高 王国』

2014年11月18日(火)~2015年3月1日(日)
会場:東京都 竹橋 東京国立近代美術館 ギャラリー4
時間:10:00~17:00(金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(11月24日、1月12日は開館)、11月25日、12月28日~2015年1月1日、1月13日
料金:一般430円 大学生130円
※高校生以下および18歳未満、65歳以上、キャンパスメンバーズ、MOMATパスポートをお持ちの方、障害者手帳などをご提示の方とその付添者1名は無料
※12月7日、2015年1月2日、1月4日、2月1日、3月1日は無料観覧日
http://www.momat.go.jp/Honkan/naraharaikko/

PC073444

そういえば、最後の授業のときに、先生が
「写真はどこまでいっても絵画の再構築でしかない時代が長かったから」
とさらりとおっしゃったのですが、その言葉が印象的で忘れられません。

一方で、写真という技術の誕生や時代の変化によって、絵画の世界においてもそれまでの歴史画、肖像画、風景画、静物画といった固定されたジャンルを飛び越えて、内面を表現するという自由を探求することができるようになりました。
この2つのジャンルの相関関係というものが、今自分の中でとても興味深く、今後も探求していきたいテーマだなと改めて感じています。

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11月の連休に、また関西に行ってきたのですが、
今回は新神戸にある「竹中大具道具館」に行ってきました。
こちらは「
消えてゆく大工道具を民族遺産として収集・保存し、さらに研究・展示を通じて後世に伝えていくことを目的に、1984年、神戸市中山手に設立されたのが日本で唯一の大工道具の博物館「竹中大工道具館」です。(引用:竹中大工道具館HP)
ということで、大工道具の歴史に迫る・また建築に携わる人々のハブになる・ものづくりを応援するをこと目指した博物館です。
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館内は写真撮影OK。
そして多くの資料が手で触れることを許可しています。

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さすがに鋭利な刃物などはガラスケースに展示されていますが^^;

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江戸時代に使われていた宮大工の方の彫刻刀です。
木造建築や自社仏閣が好きな方ならかなりはまってしまうこと間違い無しな場所です。


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博物館の特色として、実際の資料約30000点をはじめ、映像資料の公開にも力を入れています。
この写真は凸版印刷が作成したCGによる当時の建築技術の分析のVTRですが、こうして分解してみると非常に高度な技術があることが分かります。
特に釘を用いない木造建築のレベルの高さは本当にすごいなと思います。

また、竹中大工道具館では、教育普及活動の一環として出張授業のプログラムを組んでいます。
薬師寺の再現に携わった愛媛の鍛冶・白鷹幸伯氏について書かれている小学校
5年生の国語科学習「千年の釘にいどむ」という教材をもとに、実際に白鷹氏がつくった釘と現代の釘とを比較し、和釘の製造工程の紹介を行っているそうです。
過去の記憶をたどっていくと、児童教育の国語科では文章理解や内容把握を求められますよね。
国語が苦手だと思っている人の中には、「回答するプロセスを導くこと」の部分で躓くこともあるのかなと思います。
文脈をつかむということは論点を整理する力や、文章内に隠されていることを理解する力が必要です。
恐らくそれは文字ではわかりにくいけれど、疑似体験をすることや、想起しやすいものに置き換えることで、少しずつパターン化できるのではないかなと思っています。
そういう意味で、釘や鉄の性質を、実際に触れて、違いを比較して、実感として理解することで、文章の中にこめられている本質を見出す作業の補助ができるのじゃないか。。。と思いました。

最近教育について考える機会が増えているのですが、特にアウトリーチや産学連携という堅い言葉ではなくても、
学習指導要領や地域の教育施設で使われているテキストを事前に把握し、自分たちの地域に住んでいる子供たちが何を学び、何を考えているのかを把握しておくことはとても重要なことのように感じます。
だって、それは10年後、20年後に必ず返ってくるから・・・

博物館側が副教材として利用できる体験学習を提供することで、地域社会に貢献する。
そういう動きが少しずつ生まれているということの紹介を僭越ながらさせていただきました。

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