いつも楽しく拝見している
弐代目・青い日記帳 
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4579
さんの
2016年 展覧会ベスト10を拝見し、
自分もとても心に残った展覧会について、
書き記しておこうと思います。 

とはいえ、順位をつけられるような審美眼は持っていないので、
また見に行きたい展覧会だった、という観点で
考えてみました。
個人的に思い入れがある埼玉県立近代美術館の企画展と、写真展が多いです。 


・「カマキン」最後の展覧会 鎌倉近代美術館 鎌倉館
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2015/kamakura_part3/

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閉館前のラストの展覧会。
日本で最初の公立近代美術館として、意欲的な展示と収集・保存を行ってきたことが、
コレクションから浮かび上がるような、本当に素晴らしい展示でした。
研究・収集・展示・保存…美術館の原理原則について、熱意のある活動を行ってこられたことが、
浅い自分でも理解できました。

・原田直次郎展-西洋画は益々奨励すべし 埼玉県立近代美術館
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=327
1ヶ月強の会期の短い展示でしたが、とても話題になっていました。
そして、36歳という若さでこの世を去った作家の、意欲的な作品の数々に、
100年ぶりの個展という事実に、胸を打たれました。

・ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて 埼玉県立近代美術館
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=330

ラルティーグの160点のプリント。
1/3は本当に幼少の頃の、ドキドキするようなワクワク感のある記憶の瞬間の連続。
それは彼の個人的な体験のはずなのに、
なぜかとても普遍的な子供時代の記憶のように自分ごとの映像として
追体験できるのが何故なんだろうと思いました。
いつまで見ていても飽きない、とても楽しい時間でした。

・ライアン・マッギンレー BODY LOUD !  東京オペラシティ アートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/exh187/
日本の美術館では初の個展だったそうです。
オペラシティのギャラリーのとても広々とした透明な空間の中で、沢山の人々の裸を見ました。 
とても不思議な体験でした。
極限状態の中に置かれた裸体は「人間」のそれではなく、
時に単なる物質的なものに見え、
時に神や妖精のような神々しさもありました。
洪水のような裸のポートレートは、「人間であることの肯定」
という真逆の印象を受けました。

・木村伊兵衛 パリ残像 美術館「えき」KYOTO
http://www.kyotodeasobo.com/art/search/museum/isetan/kimuraihee-paris#.WGf1wraLTHc

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木村伊兵衛がブレッソンやドアノーらと一緒にパリを歩いて撮影した130点の写真群。
撮影時期は1954年、55年。
フランス特有の言葉で「フラヌール(遊歩者)」という概念がありますが、
とてもシンプルな目線でパリの日常を切り取っています。
自分は、自分には、多分撮れない。本当にそう思いました。
今から70年位前の人が、しかも東洋人が、こんな風に街並みを、
人々を透明な心で撮れるものなんだろうか…。
そんな風に思いながら見ました。

・KYOTOGRAPHIE 2016 Circle of Life|いのちの環
http://www.kyotographie.jp/2016portal/outline
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KYOTOGRAPHIEは正しくはKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2016 という名称であり、
写真がお好きな方は時間があればぜひお勧めしたいイベントです。
個人的には、アルノ・ラファエル・ミンキネン氏の
YKSI: Mouth of the River, Snake in the Water, Bones of the Earth
が非常に印象に残りました。
マッギンレーの表現するヌードとはまた異なる表現のヌード。
そして建仁寺 両足院を舞台にした展示が死生観をより一層際立たせ、
とても神秘的な印象をもたらしていました。

・ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉 東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160116-0410_galle.html
エミール・ガレの展覧会は毎年なんらかの形で開催されているかと思いますが、
今回はオルセー美術館蔵のガレのデザイン画も同時に公開されるとあって、
貴重な展示が多数ありました。
また、庭園美術館のアールデコ建築にぴたりと合致する作品たちは、
白い展示室に置かれる以上に、見事な調和をもたらしていて、
贅沢な時間を過ごすことができました。

・PERFORMING FOR THE CAMERA TATE MODERN
http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-modern/exhibition/performing-camera
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前回も書きましたが非常に見応えのある展示でした。
カメラのために演じるということ、パフォーマンスするということは、どのような効果をもたらすのか?
翻って、撮影者と被写体と鑑賞者という三者にどのような影響をもたらすのか、どういう影響をもたらしたいのか、ということを深く考えるきっかけになりました。
写真には現実でありながら、虚構の世界を作ることができるということ、
簡単に自分以外の誰かになれるということ、
自分の中の何かを引き出すことができる装置だということ、
そんなことを考えることができるようになりました。

・ トーマス・ルフ展 東京国立近代美術館
http://thomasruff.jp/
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こちらもこの前書いたけど、やっぱり後からじわじわくるというか、
またもう一度みたい展示でした。
来年金沢21世紀美術館で再度展示されるということで、また展示室の作りも異なる空間で
(円形になっているあの空間で)
どのように作品の印象が変わるのか、自分で見てみたいな、という気持ちになりました。
わかりやすいテクノロジーとの融合という観点とは少し異なる視点で、
こじらせている感じの雰囲気、好きです。

・ 杉本博司 ロスト・ヒューマン展 TOP MUSEUM
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2565.html
杉本さんのインタビューを見つけたのでご紹介します。
http://www.topmuseum.jp/contents/images/eyes/eyes87.pdf
メディアに対する考え方について、今年は様々な形で、アーティストや美術館の展覧会側が
こういう道筋なのではないか…ということを提示していたような気持ちになります。
或いは、自分が知らず知らずのうちにそのような展示を求めていたのかもしれません。
今まで普遍的にあったものが或る日突然消えてしまうことは特別なことではなく、
日常の延長線上に可能性として存在していること。
そして自分たちもまた消滅する運命にあること。
その時にただ、メディアだけは、ゆらゆらと残り続けていくんだな…
そんなことを考えました。

振り返ってみると本当に写真展ばかりでした。
というか写真展がとても良かったと思ったのです!

行列になる人気の展覧会にも足を運んだのですが、より印象が深く残ったのは上記でした。
2017年も空き時間を見つけてちょこちょこ来訪してみようと思います。